【官僚制の逆機能】
参考:堀江湛(編)『政治学・行政学の基礎知識』(一藝社,2007)
ウェーバーは近代官僚制こそが技術的に優れた組繊形態であるとして、その合理的な側面を強調した。
これに対してアメリカの社会学者マートンらは、官僚制には深刻な機能障害(逆機能)もあるとして、その非合理的な側面を指摘している。
ここでいう官僚制の逆機能とは、通常、批判的な意味をこめて「官僚主義」と称されるような行動様式を指す。
これは「お役所仕事」ともほぼ同義と考えてよく、杓子定規で融通のきかない対応、個別事愉を斟酌しない画一的な対応、不親切で人間味に欠ける態度、尊大な態度、煩雑な手続き、非効率性などがその例。
こうした行動様式は、官僚制組織の職員が無能であったり、資質に欠けるがゆえに生ずるというわけではなく、むしろ、職員が近代官僚制の諸原則に忠実であろうとするところに起囚している場介が多い。
- 規則や続きを遵守しようとする態度が、規則や手続きそのものを絶対視するような態度へと転化するなど、本来は「手段」にすぎない規則や手続きが「目的」に転じてしまう。これを「目的の転移」「目標の置換」などとよんでいる。