ZERO to ONE

著:ピーター・ティール with  ブレイク・マスターズ (瀧本哲史=序文/関美和=訳)

・永続的な価値を創造してそれを取り込むためには、差別化の無いコモディティビジネスを行ってはならない。

(コモディティ:必需品、日用品、商品の意。コモディティ化とは、商品選択の基準が販売価格しかなくなることで、低価格化が起こることをいう。)

 

・独占企業の嘘:存在しないライバルの力を誇張する

・競争企業の嘘:自分の市場を極端に狭く限定し、まるで自分たちが市場を支配しているかのように考える

 

■イデオロギーとしての戦争

・社員は出世のためにライバルとの競争に執着するようになる。企業もまた、市場の競合他社に執着する。そんな人間ドラマとして、人は本質を見失い、ライバルばかりを気にするようになる。

 

・誰しも大切なことの為に他k鷹うほど名誉を重んじるのが、真の英雄というわけだ。人間なら誰しもこんなねじれた部分があるけれど、ビジネスではそれが取り返しのつかないことになる。競争は価値の証ではなく破壊的な力だとわかるだけでも、君はほとんどの人よりまともになれる。

 

■終盤を制する

・競争を避けることで独占企業になれたとしても、将来にわたって存続できなければ、偉大な企業とは言えない。

・短期成長をすべてに優先させれば、自問すべき最も重要な問いを見逃してしまう。「このビジネスは10年後も存続しているか」というものだ。数字はその答えを教えてくれない。むしろ、そのビジネスの定性的な特徴を客観的に考えてみる必要がある。

・独占企業の特徴

 たいてい次の特徴のいくつかを併せ持っている。

  ①プロプライ得たり・テクノロジー ②ネットワーク効果 ③規模の経済 ④ブランド

 

①プロプライエタリ・テクノロジー

 本物のの独占的優位性をもたらすようないくつかの重要な点で、二番手よりも少なくとも10倍は優れていなければならない。

 それ以下のインパクトではおそらくそこそこの改善としかみなされず、特にすでに込み合った市場での売込みは難しい。

 

②ネットワーク効果

 ネットワーク効果は強い影響力を持ちうるけれど、そのネットワークがまだ小規模な時の初期ユーザーにとって価値あるものでない限り、効果は広がらない。

 

③規模の経済

 特選企業は規模が拡大すればさらに強くなる。プロダクトの開発に関る固定費は販売量の拡大に従って分散される。ソフトウェアのスタートアップは、販売増加にかかる限界費用がほぼゼロに近いため、劇的な規模の経済の恩恵を受けられる。

 

④ブランディング

 ブランドとは、そもそも企業に固有のもので、強いブランドを創ることは独占への強力な手段となる。

 

●独占を築く

 ブランド、規模、ネットワーク効果、そしてテクノロジーのいくつかを組み合わせることが独占につながる。ただし、それを成功させるには、慎重に市場を選び、じっくりと順を追って拡大しなければならない。

 

・小さく始めて独占する

 どんなスタートアップも非常に小さな市場から始めるべきだ。

 スタートアップが狙うべき理想の市場は、少数の特定のユーザーが集中していながら、ライバルがほとんどあるいは全くいない市場だ。

 

・規模拡大

 ニッチ市場を創造し支配したら、次は関連する少し大きな市場に徐々にか拡大してゆくべきだ。

 

・ラストムーバーになる。

 特定の市場で一番最後に大きく発展して、その後何年、何十年と独占利益を享受する方がいい。

 そのためには、小さなニッチを支配し、そこから大胆な長期目標に向けて規模を拡大しなければならない。勝ちたければ「何よりも先に終盤を学べ」

 

■今はやりの戦略と言えば、変わり続ける環境に「適応」し「進化」する「リーン・スタートアップ」だ。起業家予備軍は、先のことは何も変わらないのだと教えられる。顧客の要求に耳を傾け、MVP(*)(実用最小限の製品)以外は作らず、うまくいったやり方を反復すべきだと言われる。

だけど、「リーンであることは」手段であって、目的じゃない。既存のものを少しずつ変えることで目の前のニーズには完璧に応えられても、それではグローバルな拡大は決して実現できない。

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大胆な計画の無い単なる反復は、ゼロから1を生み出さない。だから、あいまいな楽観主義者が起業するというのは、何より奇妙だ。成功を実現するための計画が無いのに、どうやって成功するつもりなのだろう?

ダーウィンは¥主義はほかの文脈では筋の通った理論かもしれないけれど、スタートアップにおいてはインテリジェント・デザインこそが最適だ。

(MVP(minimum viable product)最小労力かつ最短時間で作った必要最低限の機能のみを持つ製品。これを素早くリリースし、フィードバックを得て事業化説を検証し改良するのがリーン・スタートアップの要諦とされる。

 

ジョブズから学ぶ一番大切な教訓は、美しさとは何の関係もない。ジョブズが残した最も偉大なデザインは、彼の会社だ。アップルは、新製品を開発し、効果的に販売するための明確な複数年計画を描いてそれを実行した。「MVP」なんていうちっぽけな考えは捨てよう。1976年にアップルを創業して以来、ジョブズはフォーカス・グループの意見を聞かず、他人の成功をまねることもなく、念入りな計画によって世界を本当に変えられることを証明した。

 

■カネの流れを追え

 金は金を生む。「誰でも持っている人はさらに与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。」

 指数関数的な成長を軽視してはならない。

 

■隠された真実

 「誰も気づいていない、価値ある企業とはどんな企業だろう?」正解は必ず、「隠された真実」になる。それは、重要だけれど知られていない何か、難しいけれど実行可能な何かだ。この世界に多くの知られざる真実が残されているとしたら、世界を変えるような会社がおそらく数多くこれから生まれるはずだ

 

カジンスキーは人間の目標を次の三つに分類した。

1.最低限の努力で遂げられる目標

2.真剣に努力しないと遂げられない目標

3.どれほど努力しても遂げられない目標

 

当たり前にみえる洞察が、重要で価値ある企業を支えているのだとすれば、偉大な企業が生まれる余地はまだたくさんある。

 

・隠れた真実の見つけ方

 隠れた真実には二種類ある。自然についての隠れた真実と人間についての隠れた真実。

 どんな会社を立ち上げるべきかを考えるとき、問うべき質問は2つ。自然が語らない真実は何か?人が語らない真実は何か?

 自然の謎も人間の謎も、解き明かすと同じ真実に行き着くことがある。

 競争は資本主義の対極にある。

 

■ティールの法則

 創業者の第一の仕事は、一番初めにやるべきことを正しく行うことだ。土台に欠陥があっては、偉大な企業を築くことはできない。

 

何かを始めるにあたて、最も重要な最初の決断は「誰と始めるか」だ。

仕事の相性が大切なのは、創業者だけではない。スタートアップでは社員みんなが一緒にうまくいっていく必要がある。

 

 所有:株主は誰か?

 経営:実際に日々会社を動かしているのは誰か?

 統治:企業を正式に統治するのは誰か?

 

■マフィアの力学

 社内の仕事の役割をはっきりさせることで、対立が減ったのだ。たいていの社内の争い事は、社員が同じ仕事を争うときに起きる。社内の競争を失くせば、単なる仕事を超えた長期的な関係を築きやすくなる。さらには、社内の平和こそ、スタートアップの生き残りに必要なものだ。

 

■人間と機械

最も価値ある未来の企業は、コンピュータあkでどんな問題を解決できるかとは問わないはずだ。人間が難しい問題を解決するのをコンピュータがどう助けられるだろうかと考えるだろう。

 

■エネルギー

 どの業界にも当てはまる7つの質問

 1.エンジニアリング

  段階的な改善ではなく、ブレークスルーとなる技術を開発できるだろうか?

 2.タイミング

  このビジネスを始めるのに、今が適切なタイミングか?

    3.独占

  大きなシェアが取れるような小さな市場から始めているか?

 4.人材

  正しいチーム作りが出来ているか?

 5.販売

  プロダクトを創るだけでなく、それを届ける方法があるか?

 6.永続性

  この先10年、20年と生き残れるポジショニングが出来ているか?

 7.隠れた真実

 

  他社が気づいていない、独自のチャンスを見つけているか?